不適合について書いてきましたが、今回の内容はグッドポイントについてです。
審査機関によって呼び方は様々かも知れませんが、不適合の逆の「良い状態」
です。
個人的には、不適合以上に判断に迷う時もあるのがグッドポイントです。
もちろん、審査機関としての定義及び教育が行われていますが、
私は、(正しい表現ではないかも知れませんが)組織に合わせて判断すべき
だと考えています。
グッドポイントは、組織の良い取り組みや実績にスポットライトをあてる
ことで、更なる活動の推進を後押しするものであると考えているからです。
例えば、以下のようなケースがありました(実例をベースにしていますが、
そのまま書くことはできませんのでアレンジしています)。
●ISOの形骸化という問題を抱えてきた組織が、新たな事務局のもとで
「身の丈のISO」がようやく動き出した。例えば「内部監査の後に全ての
監査員が集まってそれぞれの指摘事項を発表し、その視点や指摘内容について
お互いに意見し合う取り組みを今期から始めた」状態。
まだ成果が出ていなくても、動き出した活動への応援です。
●「身の丈のISO」を運用してきた組織が、大きな成果を残した。
例えば「非常に難易度の高い製品の不良率低減を品質目標に掲げて取り組み、
3年かけて半減させた。また、その活動記録からは真摯に取り組む姿勢が
感じられた」状況。運用レベルの高い組織にとっては、ある意味当たり前の
活動かも知れませんが、客観的にみて感じる賛辞です。
●活動としては平凡であっても、組織としてやっていなかった活動を一つの
工場で始めた。例えば「作業者が順番に過去に自分が経験してきた失敗や
教訓を、毎週月曜の工場朝礼でホワイトボードを使って出来るだけ詳しく
全員に伝える活動が1年継続している」状態。実施している工場への賛辞と、
他の工場への展開の提案を込めます。
また、経営者や事務局から安易なグッドポイントを挙げて欲しくないと
要望されたり、逆に「是非、○○の取り組みを見てあげて欲しい」とPR
とも取れる(笑)お話をお聞きしたりします。
時に、審査アンケートで「グッドポイントの判断基準が審査員によって違う」
と苦情になることがあります。不適合とは違う前向きなことですから、
我々審査員も丁寧に経営者や事務局と意思疎通を図ることで、
組織のプラスの原動力にするべきだと思っています。