熟練者からの技術伝承など、世代交代は組織にとって大きな関心事です。
今回は「ISOキーパーソン」の世代交代を取り上げてみます。
皆様の会社のISO、キーパーソンはどなたでしょうか。必ずしも管理責任者
や事務局長などの立場にある人だけなく、実際にマニュアルなどの文書作成や
審査員対応を行っている方をISOキーパーソンとして考えてみます。
多くの会社では計画的に交代が進められていますが、突発的な事情で引継ぎも
ないまま交代という事例もあります。
それはISOに限らず会社の本業でも起こり得ることであり、様々な対策を取って
いると思いますが、意外とISOキーパーソンに関しては検討順位が低かったり、
順位外だったりします。
突発的な交代はもちろんですが、計画的であっても世代交代に備えていない
場合は「混乱」を生じます。
では、起こり得る「混乱」の程度を現在のISOキーパーソンの「貢献度」から
見てみます。「貢献」といっても様々な意味がありますが、ISOの効果的な
活用の視点からみると「ISOを組織全体の活動に展開=ISOの仕組みと実務が
合致」の状態を作り上げることがISOキーパーソンとしての「貢献」の一つ
ではないでしょうか。
それが実現していると、仮に急に交代する事態となっても、いい状態は継続
するでしょう。
逆に、「貢献」のマイナス面でもある「依存」の状態を考えてみます。それは、
審査で問題が見つかっても審査員からの指摘をISOキーパーソンが「盾」と
なって取り繕ってしまう状態。結果として改善は進まず、それが続くと、
システムが審査員対応に向かってしまい実態と離れてしまいます。
(私達審査員も、そのような「盾」を組織が準備しようと考えなくて済むよ
うな丁寧で、紳士的で、建設的な審査を目指さなければいけません)
そのような状態でISOキーパーソンが急にいなくなると、その後の運用、
少なくとも効果を上げる「活用」は難しくなります。
ISOキーパーソンの「あるべき姿」の話にもなってしまいましたが、「依存度」
が高いと思われる場合はそれを改善しつつ世代交代を検討する必要もあります。
ISOキーパーソンの世代交代の検討は、今の社内のISO運用を再確認する機会
にもなります。