ISO9001/ISO14001共に2015年版ではトップマネジメントのリーダーシップが強調
されています。審査においても、「経営者は、具体的に何をすればいいのか」と
聞かれることがあります。
その質問に対しては、規格が要求している各事項を説明することになるのですが、
時に少し脱線したお話をすることがあります。
それは、「重要なのは、経営者がISOの仕組みに期待し続けることは何か」という
ことです。審査員としての立場を超えて経営者に進言するつもりは毛頭ありません
が、その重要性を強く感じているのです。
経営者が「期待し続ける」ことで、ISO事務局や推進者には活気が出て、社内にも
参画意識が生まれ、仕組みが改善されて行くと考えるからです。逆に、経営者が
「ISOで事業上の成果を出すのは困難だ」或いは「無理だ」と諦めてしまえば、
ISOが形骸化に向かう可能性が高くなります。
審査は、経営者から始まり部門や現場へと組織階層を渡って行きます。経営者が
ISO活用に意欲的な場合は、相当な階層までその意思が浸透しています(勿論、
全階層まで金太郎飴のように浸透しているような素晴らしい会社もあります)。
ですが、経営者がISOの活用に期待や興味を失っておられると、途中の階層から
盛り上がることは非常に少ないです。
このことは、経営者の方々の問題だけではなく、ISO審査員や審査機関の問題でも
あります。ISO審査員や審査機関は、規格要求事項への適否判定だけでなく、審査
を通じて「ISOが企業に有用な成果を出し続ける」ことを達成する役割と責任が
あると考えています。