2015年版への対応にあたり「予防処置」の仕組みを無くしてしまう組織を多く
見かけます。予防処置がリスク管理に変わったという理解によるものです。
その理解は間違っていないのですが、勿体ないと感じることがあります。
それは、社員の方々が自分達の役割(予防処置)から上層部や管理層の役割
(リスク管理)に移ったと感じてしまうことす。
確かにリスク管理に対する規格要求は、上層部や管理層での実施を思わせる
表現になっていますが、規格の解釈論は別にしても、階層を問わずリスクを
意識して対処することは重要です。まさに予防処置の考え方と同じなのです。
とはいえ、予防処置の仕組みが上手く活用できていなかった組織が多かった
ことも事実です。
少し話がそれますが、予防処置の仕組みとは別に(ISOの仕組みとも別に)ヒヤリ
ハットの仕組みを運用していた組織が多くありました。その頃から同一の仕組み
として運用できないものかと思っていましたが、予防処置に対しては規格が細か
に要求していこともあって比較的手軽に運用できるヒヤリハットは別に運用した
方がよい状況もありました。
その細かな要求がなくなった2015年版では、ヒヤリハットをリスク管理の仕組み
の一部として組み込んではいかがでしょうか。以前よりは組織の実態や必要度に
応じた自由な運用が、可能になるでしょう。もちろん、ISOの仕組みとは別に運用
する方がもっと自由ではありますが、外部の目線で意見を受けるメリットがあり
ます。
これまでヒヤリハットの仕組みがなかった組織でも、2015年版への対応にあたり
取り入れることを検討してはいかがでしょう。規格の要求を受け身ではなく、
組織の活性化に利用することが重要です。