今回は、ニュースで話題になっている自動車メーカーや鉄鋼会社の法令違反に
関してつぶやいてみます。
どちらのケースでも聞かれるのが「現場任せ」という言葉です。ある程度の
役職者まで関与しているようですが、少なくとも経営層、或いはそれに続く階層
の視点では「現場任せ」と言えるでしょう。
審査では、大規模な組織であっても現場から経営層までが審査対象となります。
そのため、幾重にもなった組織階層を短期間に登ったり下ったりします。
階層や部門が多い組織では、特に、方針・目標の展開、或いは顧客情報・現場
情報などの内部コミュニケーションに焦点を当てることが多くあります。
そのような審査において、時に感じるのが「ある境界での途切れ」です。特に、
管理階層における現場状況の認識の「途切れ」です。
生産量や経費などの経営数値は会議資料で認知していますが、どんな事で困って
いるのか(若手の育成が進まない、顧客流出一歩手前のミスが多い、設備異常が
多いなど)、或いはどんな改善が進んでいるのか(掲示板の工夫、ミーティング
の工夫、手順書の工夫など)の少し細かい話になると通じないことがあります。
もちろん、技術的な事も含めた個々の事象を全て把握することは難しく、大規模
組織の運営においては非効率とも言えます。ですが、少なくとも「雰囲気・空気
感」は認識しておく必要があると思うのです。
極端にぷっつりと「途切れた」階層に出会うと、何をしている会社なのか判らな
くなる程です。審査員としてだけでなく「虚しく」感じる程です。
一連の事件では「現場」だけが悪者にならないで欲しいと願っています。現場の
雰囲気や空気感を感じずに、数値的な要求だけを突き付けることの弊害を論じて
欲しいと思うのです。
今回の事件における詳細は把握していませんが、一般論としては、審査機関も
今回のような事件を未然に防ぐ責任の一端を担っています。そのことを、私自身も
改めて肝に銘じたいと思います。