2015年版へのマニュアル改訂も終わり、新しいチェックリストでの内部監査も
始まっていると思います。今回は、内部監査における焦点の絞り込みについて
つぶやきます。
まずは、多くの会社で採用されている規格要求事項の全てを毎回チェックする
方法ですが、少なくとも規格文にはそのような記述はありません。ですが、
「そうしなければならない」と思い込んでいる、あるいは慣例でそうしている
ことが殆どで、必要性を感じて全てをチェックしていることは極希です。
そのような思い込みや慣例を、一度クリアにしてみて下さい。一気に自由度が
高まります。ここでの自由とは、規格要求事項のどの項目を監査するかの自由
です。言い換えると、自社のどの仕組みを監査するかの自由です。
自由になった内部監査で重要なのは、焦点の絞り込みです。忙しい業務の中で
時間を割く訳ですから、自社にとって有効な時間にすべきです。
では、何を基準に焦点を絞り込むかですが、私がお勧めしたい第一の選定基準は
「成果が出ていない/活用できていない仕組み」です。
「問題のある仕組み」や「不適合の原因となった仕組み」が思い浮かんだ方も
多いと思いますが、私はその基準は2番手でも良いと考えています。なぜなら、
そのような仕組みは問題や不適合が見つかった時点で既に手を付けているで
しょうし、そうした方が良いからです。
「成果が出ていない/活用できてない仕組み」を基準にすると、監査の項目を
選ぶ際にもそれぞれの仕組みの意図や目的を意識することができます。
監査においても「どうすれば成果が出るか/活用できるか」の視点となり、
○×式の適合性だけの監査から、有効性を高める監査となります。
例えば、ISO9001では「設備管理」「購買先の管理」「組織の知識」など形骸化
しやすい仕組みにも焦点が当たるかも知れません。ISO14001では「環境目標」
を事業・実務の課題と一致させる、或いは「環境に関する力量管理」の内容を
見直すなども考えられます。
ここで少し冒頭の話に戻りますが、毎回全ての項目を監査しないと、場合によっ
ては数年間監査を受けない項目がでてくる可能性があります。
いくら規格が明文化していないとはいえ、審査員としても(少し立場論的ですが)、
組織にとってもあまり良いとは言えない状態です。そこで、外部審査のサイクル
と合わせて3年間で全部の項目を1度は監査する方法があります。もちろん、2度
3度と監査する項目があってOKです。
慣例的な実施から自由度の高い内部監査に変えると、事務局にとっては思慮・検討
する負担が増えるかも知れません。ですが、ISO活用の要ともいえる内部監査に
手間をかけることは重要であり、効果も大きいのです。