
ISO14001においては、
地方自治体が適合の自己宣言をしているケースが
ありますが、それ以外のISO規格は、自己適合宣言は、可能なのか?
ということを聞かれることがあります。
ISO14001の規格では、
その序文に認証又は自己宣言の規格と明記していますが
ISO9001の規格には、そのような記述はありません。
しかし、ISOのどのような規格に対しても自己適合宣言を行うことができます。
実際に、接着剤のボンドで有名なコニシ株式会社は、2012年に、ISO9001の
自己適合宣言をしておりますし、リスクマネジメントのコンサルティングを
行っているニュートン・コンサルティング株式会社は、
ISO9001、ISO27001、ISO22301、ISO50001を含めた自己適合宣言をしております。
なぜ、ニュートン・コンサルティング株式会社は、自己適合宣言をしたのかについて、
「当社が構築した統合マネジメントシステムを効率的かつ効果的に評価することは、
既存の審査の仕組みでは難しいと感じております」
と述べています。
ISOの自己適合宣言は可能ですが、
以下のようなメリット・デメリットが考えられます。
■メリット
・審査費用が掛らない
・審査対応の手間が掛らない
■デメリット
・客観性が担保できない
・ISO取得が顧客要求であれば、満たすことができない
ある審査機関の審査報告書には、注記としてこのような表現があります。
(※一部、わかりにくい表現があるので、原文を追記・変更しています)
「この報告書は、顧客(受審企業)のためだけに作成されたものであり、
その他の目的に使用されることを予定しておりません。そのため、他の目的に
本報告書が用いられたとしても、それに関連していかなる責任(法的なものに
限りません)も債務も負わず、また、顧客以外の者に本報告書が開示され、
もしくはそれらの者が本報告書を入手したとしても、それらの者に対して
いかなる責任(法的なものに限りません)も債務を負わないものとします。」
このスタンスは、どの審査機関でも同様です。
つまり、ISOの審査結果は、あくまでも主観的なもので、
客観性を担保するものとして、使用できないということです。
ISOの審査は、第三者としての評価といわれることもありますが、
実際は、二者間の契約に基づいた私的なものだということです。
逆に、このようなものであれば、審査機関や審査員にこだわるという
こともありだと思いますが、いずれにしても、既存の審査の枠組みでは、
その評価結果は、限定的なものとなります。
ISOの認証を継続するか、返上して自己適合宣言するか、は、
会社が置かれているビジネス環境にもよりますが、
ISOの自己適合宣言は、ISOの運用を行う上での選択肢の一つだと思います。