審査機関に属する審査員の協力得て、掲載しております。

目標と認識

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要求事項7.3「認識」は手順も記録も要求されていないため、
審査では比較的注目されない要求事項です。

結果として、組織のマネジメントシステム運用においても意識
され難いと感じますが、私は目標管理と組み合わせて「認識」
を多用しています。

「認識」の要求事項を、私は次のように言い換えています。

『方針に基づいた目標を達成するために−自分自身がどのように
行動すべきなのか−行動の結果が、どの程度目標(方針)達成に
貢献できたのか−今後、どのように行動すべきなのか−を、
一人一人が理解すること』

目標管理の有効性を観察するための視点と直結するのです。
・方針と目標の関連性が弱いと、一人一人の行動の起点となる
認識が不足する
・目標達成のための施策に具体性がないと、一人一人が行動の
内容を認識できない
・行動の結果に対する評価が不明確だと、どの程度貢献できた
のかを一人一人が認識できない
・結果の評価を踏まえた今後の対応指針が不明確だと、修正点や
課題を一人一人が認識できない

「一人一人」が重要なキーワードです。

目標管理で作成する記録は、当然ながら審査員に説明するために
作成するのではありません。行動すべき組織の一人一人に向けた
メッセージとして作成することで、その価値を発揮すると考えて
います。
 

組織内の関係性

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以前にもつぶやきましたが、審査ではトップから最前線の方まで
お話しを聞くことができるため、組織全体を俯瞰してとらえるこ
とができます。今回も、同様の視点からのつぶやきです。

審査は当然ながら規格に関連することのやりとりですが、対応い
ただく方の「人柄」も少なからず感じます。押しの強い経営者、
控えめな経営者、上に弱く下に強い管理職とその逆の管理職。
同僚に気配りする方とその逆の方。時には「これで上手く組織が
回るのかな…」と僭越ながら感じる個性の方もいます。

ですが、冒頭に記載した通りに組織全体を見ると、「この経営者
と幹部の関係ならば…」「この部長と課長の関係ならば…」
「この職場の雰囲気ならば…」等と、相対的に見るとしっくり
噛み合う、或いは調和していると感じることが多いのです。

組織を考える時には、「人」そのものを見ることも大切ですが
「人」と「人」の間にあるもの(関係性と呼んでみます)を見る
ことも大切だと感じています。「人」を変化させることは難しい
ですが、その関係性を変化させる余地は比較的大きいとも感じる
からです。

なぜならば、変化の方法には配置転換だけではなく、関係性に対
する助言や雰囲気作りの方法もあるからです。

ただし、関係性は自然発生的なものでしょうから、無理に「いじ
りまわす」と良い結果を生まないだけでなく逆効果になる恐れも
あるでしょう。そう考えると、組織作りが容易ではないことに
変わりないですが…。
 

管理品質

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品質管理ではなく「管理品質」。ネット検索でも上位にはヒット
しませんが、最近気になっている表現です。

他の審査員が「御社にとって重要なのは、品質管理よりも管理
品質では?」と、この表現を使ったのです。その企業は規模の
大きな建設会社で、実際に品質を作り込む協力会社への“管理の
質(品質)”に着目しての表現でした。

製造業やサービス業であっても協力会社が品質を作り込む主体
となるケースは多いでしょう。また、協力会社が介在しなくても
管理職にとって“管理の質”は重要です。

ISO9001にも協力会社に関する要求項目(8.4)はありますが、
そのイメージとして私が持っていたのは(且つ多くの会社で運
用されているのは)、「協力会社を通した品質管理」であって
「協力会社を管理する質」とは微妙に違っていたと感じるのです。

そして、「管理の質」に着目して実態をみると、多くの場合
「管理者としての精神論」に重きが置かれて、「システム/
仕組み」としてはあまり捉えられていないと感じるのです。

品質管理と同様に管理品質の「システム/仕組み」に着目する
ことで、新たな改善の道を見出せる可能性を感じています。
審査における具体的なアプローチの方法は未だ模索中ですが、
審査の質を上げるために取り組みたいテーマです。
 

マニュアル=悪?!

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2015年版の発行時にかなり話題となった「マニュアルの是非論」、
品質マニュアルや環境マニュアルの是非論です。

規格の解釈論はさておき、いまでも時々「ISOの弊害はマニュアル
だ!」「マニュアルは審査にしか役立たない!/審査員のために
作る!」という意見を耳にします。「マニュアル=悪」の声です。

ここで「悪」と称されるマニュアルとは、「規格文を丸写しした
マニュアル」「コンサルタントが作成したサンプルのままのマニ
ュアル」なのでしょう。

ですが、マニュアルの是非を論じる際に、この「〇〇〇なマニュ
アル」という前置きが吹っ飛ばされることが多く、とても残念で
す。

私は、マニュアル(良いマニュアル)の定義を「規格要求に対し
て、自社ではどのように対応しているか、或いはどの記録が当て
はまるかを文書にしたもの」と説明しています(すみません当た
り前で)。

では、誰のために作るのか?当然、組織でISO運用を担う人達の
ためです。特に、仕組みを見直す時や事務局が交代するときには
大いに役立つでしょう。悪いマニュアルは自社だけではなく、
審査員にとっても意味がありません(すみません、乱暴な言い
方で)。

「良いマニュアルだな〜」と感心したことがあります。それは、
規格要求番号とタイトルを縦軸に、自社で当てはまる業務を自分
たちの言葉で短文(1行程度)で、或いは作成する記録を使用する
順番を含めて横軸で記した表形式のマニュアルです。どこにも規
格文はありませんでした。もちろん、業種や組織規模等によって
合う・合わないはありますが、その組織にはピッタリでした。

今更ながらのマニュアル是非論でしたが、この件を問わず「前置
きを吹っ飛ばした単純な是非論」に強い違和感を持つタチの審査
員のつぶやきでした。
 

SDGsとISO14001

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横文字の流行り言葉には少し抵抗があるのですが、仕事柄「SDGs」
を避けて通ることは出来ません(その詳細はインターネット等に
たくさんの情報がありますのでそちらに任せます)。

簡単に説明すると「国連が設定した世界の目標(17のゴール)を
2030年までに達成しましょう!」という仕組みです。当然ですが、
環境問題の解決も含まれます。

そして、ISOを運営する機関も「ISO14001はSDGs達成のための有
効なツールである」と認めています。

率直に「ISO14001の活動に元気と勇気を与えてくれるSDGs」と感
じています。

ISO14001のモチベーション維持に苦労している組織は多いです。

SDGsとISO14001を複雑に関連付けた高度な運用を目指すことはさ
ておき、「知ってると少し自慢できるSDGsとは…」「17のゴール
中で我社がISO14001で取り組んでいるのは…」等の話をするだけ
でも社内に「私達はかなり良いことしてる!?」という小さな元気
と勇気が生まれるのではないでしょうか。
 

品質は細部に宿る

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大きな組織を審査する際には、審査する側も受ける側も「大きな視
点」になりがちです。管理階層が多いため、いわゆるマネジメント
機能における確認が増えるためです。階層間の情報共有やコミュニ
ケーションの問題に着目することが多く、組織側もそれを望んでい
る場合がよくあります。

ですが、どんなに組織が大きくても、顧客に一番近い最前線となる
階層の重要性は変わらないと考えています。組織全体から見れば極
一部の問題であっても、時には一瞬で、或いはじわじわと時間をか
けて、組織全体を揺るがすことが少なくないからです。

顧客要求を聞き取った記録の記述内容の個人差、検査項目に対する
検査者の理解度の濃淡など、組織の大小に関わらず細かな視点で審
査し、問題があれば躊躇なく報告します。

時には「細かすぎる」ことを言外に匂わすような発言を受けたり、
稀に明言されたりすることもあります。もちろん、報告内容の合意
形成には努めますが、可能な限り細部品質の重要性を伝えるように
しています。

大きな階層ピラミッドの上階層が、自分以下の階層全てをチェック
することは現実的ではありませんが、少なくともその認識を持つこ
とは欠かせないと考えているからです。
 

リモート審査の活用

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コロナ禍におけるリモート審査。その実施においては、受審組織も
審査員も不慣れな場合が多く、その実効性への懸念を含めて、私自
身もマイナスイメージばかり持っていました。

ですが、リモート審査の機会を活かそうとしている組織に出会い、
マイナス面しか見ていなかった私は反省させられました。その活か
し方とは、「社内教育」です。

これまでも、自社の内部監査員への教育の一環として審査に同席す
る事例はありました。しかしながら、現実の「同席」には時間・費
用・場所等での負担や制約が伴います。特に、大きな組織では他拠
点からの参加は困難でした。

その制約をクリアするのがリモート参加です。時には、20名近い参加
者がいるとお聞きすることもあります。内部監査員だけではなく、
直接の審査対応者以外にも審査及びISOに参画意識を持ってほしいと
選定された人もいました。

少し状況は異なりますが、現地訪問での審査で、他拠点からTV会議
システムで審査を聴講(?!)している事例もあり、これもコロナ
禍でのリモートシステム活用と感心しました。

冒頭マイナス面の話をしましたが、審査員にとっても審査スキルを
試される機会であり、成長・進化を求められるリモート審査なので
す。当然のことながら、審査の実効性を確保した上で、リモート審
査ならではの「審査の価値」を見出すことが与えられた使命だと思
っています。
 

教育は新人だけのもの?!

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新人社員に対する教育訓練や力量評価の一貫として、自社製品に関す
る知識テストを行うケースがよくあります。対象となる新人社員の定
義はいろいろですが、長くても入社後5年程度という印象です。

ですが、先日、ある製造メーカーの審査で「新人社員に対する…」と
いう固定観念を覆されました。

その企業では、部長クラスまでテストを受けており、その点数は全て
社内に公表されているのです。テストは製品カタログから作成され、
製品特徴や仕様、用途、製品選定上の注意などが出題されます。

「製造や営業で自分が携わる製品の知識は増えて行きますが、その他
の製品知識を持つことも重要…」「何よりも、常に学ぶ姿勢を維持す
るため…」などのご説明を受けました。

製造者として、営業者として、新人として、ベテランとして…ここで
は書ききれない程の効果があると感じました。

教育に対する取り組みは、企業理念や企業風土を映す鏡だと強く感じ
ました。
 

コロナ禍における利害関係者

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コロナ禍で多くの企業が影響を受けています。トップマネジメントイ
ンタビューでもその話題に必ずなります。

その中で印象的だったのは、ある経営者のお話でした。

その方曰く「さすがに今回は社員にも(賞与が下がることを)我慢し
てもらうしかない・・・ISOでも利害関係者に従業員も含まれると言っ
ていますが、今回それを痛感しました。」

コロナ禍で賞与が下がることは、QMSやEMSの影響範囲とは直結しない
かも知れませんが、MS(マネジメントシステム)においては従業員を
利害関係者として考えるか否かは大きな違いだと感じます。

審査員としてはおこがましい意見ですが、まれに従業員の人達を大切
にしていないと感じる会社に出会います。内心、「利害関係者には従
業員も含まれるのではないでしょうか・・・」とつぶやいてしまいま
す。

もちろん、先の経営者の会社は管理職が部下を思いやり、各社員がお
客様に真摯に向き合う組織でした。
 

部門間の壁がない組織だからこそのリスク

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営業部門から設計部門へ、或いは設計部門から製造部門へ引き継がれ
る情報(文書や口頭)が少ない組織があります。注文書や設計図面な
どの必須といえる情報はあるのですが、お客様の望むイメージや人柄
や好み、競合との差異などを含む受注までの経緯、或いは製造時に注
意して欲しい事や小さな心配事などの「その他の情報」が少ないので
す。それも記録として残る文書が少ないのです。

そのような組織の特徴として最も多いのは、部門間のコミュニケーシ
ョンが悪く表面的な情報しか引き継がれず、結果として何度も部門間
で問い合わせたり、時には不良品が発生したりする組織です。この悪
い特徴は、ある意味「納得」するのですが、全く逆の特徴を持つ場合
も少なからずあります。

それは、部門間のコミュニケーションが非常に良好で、且つ、営業・
設計・製造の枠を超えて「一体」となって業務をこなしている組織で
す。

「引き継ぎ時の情報が少ないですね」と聞くと、「設計者も営業打ち
合わせに同行することが多いですし、設計者も製造現場によく行きま
すので、“引き継ぎ”という感覚はあまり持っていません」などと返
ってくるのです。

インタビューでの感触からもそのことが分かれば「素晴らしい!」と
感じ、賛辞も送ります。

しかし!第三者の視点からはリスクも感じます。

今現在の「人」で成り立っている間はいいのですが、退職したり、新
たに加わったり、管理者が変わったりと「人」に変化が起きることを
想定すると「安定した仕事の仕組みと言えるでしょうか?」或いは
「“区切り”としての引き継ぎ、その記録としてのある程度の“文書”
は必要ないでしょうか?」と問い掛けたくなるのです。

「創業以来の社風ですから」、「長年かけて培ってきた雰囲気なので
す」と、気に留めていただけないことも多いのですが、「是非、是非
、今の状況が続いて欲しい」と心から願いながら懸念を伝えることも
審査員の役割の一つだと私は思うのです。
 

顧客満足の監視は誰の役割?

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ISO9001で求められている「顧客が満足しているかどうかの監視」
ですが、その監視の役割を限定的に考えて「もったいない」と感
じることがあります。次のような場面です。

顧客の工場の中に常駐して作業をする部門に、「お客さんから意
見や要望、時には苦言等をお聞きすることがあるかも知れません
が、そのような時はどう対処することになっていますか」と質問
すると、「顧客満足調査ですね。それは営業部門が毎年アンケー
トを行っていますので、私達の業務ではありません。営業部でお
聞き下さい。」との回答が返ってくる場面です。

少し踏み込んでお聞きすると、やはりお客さんの「声」をたくさ
ん手に入れているのです。ですが、残念ながら「活用」されてい
ない事例が多くあります。

調査頻度や調査用紙等の形にこだわらず、まずは「顧客が満足し
ているかどうかの情報を入手できる業務」であることを一人一人
が認識し、入手した場合のルール(誰に報告し、誰が必要な対応
を決定するのか、どのような記録を残して今後に活用するのか等)
を検討することが会社にとっては有意義だと考えます。

審査に対応する会社の負担も理解できますので、「規格要求と対
応(ルール)」を一対一、或いは限定的に考えて審査員に対応す
ることも止むを得ないかと思いますが、少なくとも社内的には
「自分達の仕事の結果・成果を、お客さんがどのように評価して
くれているのか」に全社員が関心を持つ機会になればよいなと願
っています。
 

審査日数が変化する可能性

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既に審査機関から連絡があると思いますが、ISO9001等の認証基準をする
ための国際基準に大きな変化がありました。その基準とは、本社以外に
支社・工場・営業所等を持つ複数サイト(活動場所)を持つ会社の審査
日数を決めるためのものです。

会社によっては、審査するサイトの数が増え、結果として全体の審査日数
が増える場合があります。詳細な説明は各審査機関からの説明が一番正確
なためここでは触れませんが、何れにしても複数のサイトを持つ会社に
とっては、本社以外サイトのISO運用と審査について考える機会になると
考えています。

多くのサイトを持つ大企業であってもISO運用は本社任せで、自主的な運用
が出来ていないと感じることもありますし、自サイトで運用しやすいように、
効果が出やすいように自主的な運用ができている場合もあります。

残念ながら私の経験では前者の比率が多いのですが、上述の通り、止むを
得ず審査するサイトや工数が増えてしまう場合には、その状況を改善する
機会にもなると考えます。もちろん後者の場合であっても更なる運用レベル
向上を目指すことも可能性です。

審査機関の窓口になっておられる方は、審査日数が変化する場合の理由に
対する説明を十分に受け、納得した上で社内への伝え方やISO運用方針を
検討し、是非とも変化を「活用」していただきたいと思います。


参考:複数サイトの組織が運用するマネジメントシステムの審査及び認証
   のためのIAF基準文書
 

手順違反が見つかった時の対処法

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現場審査で「手順とは違う作業」が見つかることがありますが、その作業を
していた人の反応は大きく2種類に分けられます。1つは「あっ!やって
しまった/見つかってしまった」と心の声が聞こえてきそうな反応で、手順
とは違う(良くない)ことを理解している様子です。

もう1つの反応は「えっ!間違っている?/えっ!ダメなの?」と同じく
心の声が聞こえてきそうな驚きを伴った反応です。

いずれの場合も“空気”を読んで沈黙して同行者に助けを求めますので、
憶測ではありますが、反応として感じるのです。

多くは後者の「悪いとは認識していない」と思われるケースです(前者の
多くは審査なので“隠れて”いるのかも知れませんが)。後者の場面から
感じるのは、きっと他の方も同じ、或いは多数いるのではないか、という
ことです。「手順違反や理解不足」を、衆目の中で続けることは容易では
ないと思うからです。

ですが、該当する事象を1件しか発見できなかった場合には、審査員として
の少し対応は難しいのです。管理者の多くは、審査で見つかった作業者に
限定的された事象であるというスタンスで、時にはその場で作業者を叱責
することもあります。審査は客観的な証拠に基づくため、憶測は御法度です。

私も企業で製造管理者を務めている時には、「限定的だと思いたい」心情
でした。ですが、今改めて客観的な立場で多くの事例に接すると、『殆どの
人に悪意(大袈裟ですが)はなく、周囲の雰囲気や上司の曖昧な運用(ルール
だと言うが、忙しい時には例外だと安易にルール違反を認める等)により、
少しずつ“運用が変化”している』可能性が大きいと感じます。個人に焦点を
当てずに、指示する側される側を含めた全体の構図と運用状態に目を向ける
べきです。

製造管理者の当時、理不尽に個人を責めてしまったことへの反省を込めた
つぶやきです。
 

企業による品質記録の改ざん

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数年前から報道が続く品質記録の改ざんですが、一向に減る様子はありません。
実は多数存在しながら、未だ少しずつしか表面化しないのかも知れません。
「ISO9001を取得しているのになぜ?」「審査機関は何を見ている!?」など
の報道もあります。

報道が出ると、どの審査機関も「ISOは取得している?どの機関が認証?」と
真っ先に調査しているのが実情だと思います。私の所属先でもそうですが
「審査員はどのような審査をすべきか」も議論になっているでしょう。
以下、あくまで私見としてつぶやきます。

審査において不正な事実が発見された場合は、報告書に記載して所属機関に
報告することは審査員の責務です。ですが、意図的に「隠された」事実を掘り
出すことは、与えられた時間と権限の中では難しいと言わざるを得ません。
不正とまで行かないルール不順守でさえ、その追及に限界を感じることもあり
ます。

些末な例かも知れませんが、例えば、品質検査チェックリストに記されたかなり
乱雑なレ点(項目とレ点の数が合わない、或いは乱暴な一本性を引いている場合
も)を見ると「本当に検査しているのか」と疑いたくなります。ですが、「レ
点の付け方」は指摘できても「検査したか否か」を判断し言及することは難し
く、そもそも判断するためには「捜査」のようなことをしなければなりません。

釈明的なことを書きましたが、組織を不正を防ぐというISOに対する世の中の
ニーズを満たさなければ、その存在価値が失われ、既にその傾向があることの
危機は痛感しています。自分の職務の危機です。ですが、上述のような現状を
踏まえると「方向修正」ではなく「大きな変化」無くしては、世の中のニーズ
に応えられないとも考えています。

他力本願ではありますが、報道が一過性の出来事に終わず、審査機関も巻き込
んだ大きな「うねり」になって欲しいと思っています。
 

工場視察の評価を上げる秘策

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審査で多くの工場を訪問しますが、私が好印象を受ける2つのポイントを
ご紹介します。

「好印象=ISO的な管理が出来ている=不適合がない」という訳ではありま
せんが、ISOの審査や顧客視察等の訪問者に「好印象」を与えることに越し
たことはありません。

タイトルを“秘策”としたのは、例えば築数十年の建屋や年代物の機械、
限られた敷地で余裕の無い作業スペース、機械油やインク等を多用する汚れ
やすい環境、職人気質で5Sを受容れない雰囲気等、訪問者を迎える準備に
苦労している組織の方に「これならできる」ポイントとしてお伝えしたい
からです。

1つ目は「通路の確保」です。初めて工場に入る人にとって、まず気になる
のは「どこを歩けばいいか」です。危険がないか、或いは作業の邪魔になら
ないか等の理由からですが、安心するのは「緑のラインで作られた通路を
通って下さい」等の言葉です。工場の様子からスペースが厳しいことは解る
ので、無理に幅広く通路を取る必要はなく、確保できる幅で構いません。

そして、重要なのは資材等がはみ出していない「確保」です。
例えば、3メートルの通路であっても資材が通路にはみ出していれば台無し
です。

2つ目は「きれいな掲示物」です。機械油等を多用する作業場では、どう
しても機械、作業台、工具、通路等が汚れて(決して“汚い(きたない)”
という意味ではありません)しまいます。その状況で、掲示物までが同じ
ように汚れていることが多いのですが、作業手順や注意事項等の掲示物は、
視察者にとって注目点の一つです。その注目される掲示物が汚れている状態
と、全体が汚れている中でも「浮き出す」ように掲示物がきれいな場合では、
まさに雲泥の差があります。新しい物に作り直す必要はなく、読み取れる
程度に清掃するだけで十分です。

これら2つは当たり前のことですが、なかなか実践できていないのが現状
です。そして、比較的短期間で整備が可能で、効果が大きい意味ことから
“秘策”としました。ぜひ、訪問者の好印象をゲットして好成績につなげて
下さい。
 

マネジメントシステムの「弱み」を知る

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ある組織の審査をする前には、過去の審査記録を確認します。そこで注目
することの一つは、PDCAサイクルのどこに課題があるか(弱み)です。
その視点で過去3年間以上みると、傾向や変遷を捉えることができます。

ただし、審査機関の報告書では、指摘事項がPDCAのどこに分類される
かは明示していないと思いますので(理由は後述)、是非自社で分類に
挑戦してみて下さい。

例えば、品質目標や環境目標の場合。達成に向けた活動が、具体的になって
いない指摘は「P」に分類。活動そのものが進んでいない指摘は「D」に
分類。活動状況や途中経過の監視に問題がある指摘は「C」に分類。監視
していても活動の方向修正ができていない指摘は「A」に分類。

例えば、現場作業の場合。必要な手順書や基準書に不足がある指摘は「P」
に分類。必要な作業記録が作成されていない指摘は「D」に分類。不良品や
工程遅延が発生しても分析が行われていない指摘は「C」に分類。分析が
行われても改善に結びついていない指摘は「A」に分類。

例を見て気付いた方もいると思いますが、分類する人の「見方や考え方」に
よって分類結果が違ってくる可能性があり、コンサルティングとなる可能性
もあります(これが、審査機関が正式採用しない理由だと私は思います)。

最初に過去数年分の報告書を遡って分類するのは少し大変ですが、一度行う
と審査の都度、分類結果を追加すれば済みます。それに、作業に見合うだけ
の有効な分析結果が得られると思います。ただし、その分析結果を活かさ
ないと、「A」の分類が増えますが。
 

審査報告書から見る「働き方改革」

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業務上、他の審査員が作成した報告書を見る機会が多いのですが、世間で
話題になっている「働き方」に関連する象徴的な事例を目にしました。
審査報告書では、不適合に加えて「良い活動やその結果」も記載しますが、
そこでの2事例です。

まず1例目の要旨は次の通りです。

「○○不良を改善するために、就業後、係員が自主的に集まってその日の
発生不良を分析し・・・不良率の大幅な改善につながった」

この事例では、従業員の熱心な取り組み姿勢とその結果に賛辞を送っています。


続いて2例目の要旨は次の通りです。

「これまで慣例的に就業時間前に行っていた設備点検(点検表作成)では、
短時間でサッと済ませる人、時間をかけて丁寧にする人があったが、就業
開始後の○分間を一斉点検時間とすることで、稼動率の向上(故障率の低減)
につながった」

この事例では、良いとは言えない慣例から脱して、明確にルール化すること
で結果を出したことに讃辞を送っています。

称賛する審査員の気持ちに正否はありませんが、今の「働き方」では2例目が
妥当となります。称賛する気持ちが誰かの無理や負担につながっては行けない
からです。

本来の規格審査とは少し逸れた視点ではありますが、審査員として最大の成果
品である報告書の記載としては気を配るべきだと感じました。
 

同化して行くISO9001とISO14001

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2015年版になって同じ規格構造となったISO9001とISO14001。業務との合致を
目指していることも同じですが、以前から業務との合致を目指していた
9001を追いかける14001という印象です。取得しても業務(経営)の役に立た
ないという14001への批判を打破する狙いもあったと思います。

そして、業務との合致が進んだ組織では「内部外部の課題の把握」と「利害
関係者のニーズと期待の把握」「リスクと機会の決定」が同じ仕組みとなり、
品質目標と環境目標が同じ内容となり、結果として9001と14001が同化して
「違い」が小さくなります。

そして、そして、皮肉にも「やっぱり14001取得は必要?!」という声が出て
きます。

審査機関を含む「認証制度」をビジネスのアイテムとする立場にとって「取得
が必要?!」という声は、「ビジネスの危機」と感じるのが本音です。「違い
が小さいのだから同じ審査費用は妥当なのか?!」にも聞こえます。

あってはならないことですが、14001の「地位」を守るために、審査員が「9001
との違い」を強調する雰囲気が審査に出てくる可能性も否めません。例えば
「まったく同じ目標が何年も続くと、品質の観点だけで設定してしまうのでは」
等と。まさに、あってはならないことです。

前回、「審査の価値」についてつぶやきましたが、14001に限らず、規格の
「価値」を自分達の都合に合わせて誤魔化すことなく、私たち審査員も変化し
なければならないと思います。

9001と14001の同化が非常に進んだ組織の審査中に、宿舎で思いを巡らしての
つぶやきです。
 

価値ある審査とは?

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「価値ある審査」、審査機関としては勿論ですが、審査員同士でもよく論じ
られるテーマです。審査員に限らず自身の仕事の「価値」を考えることは、
大変良いことであり必要なことだと思います。

今回は、審査の価値を振り返るとともに、審査員に求められていることを
考えてみます。

まずは、ISO9001を例にして基本的なところから挙げてみます。

@第三者認証制度としての審査の価値
第三者認証制度を簡単に言うと「企業同士、或いは消費者が個別に相手企業
の品質管理体制をチェックするのは大変なので、統一された規格を用いて
公平な第三者が代わりにチェック(審査)する。その結果を信用の一つと
して取引や購買の可否を判断する」ことです。

審査員は「世間一般の企業や消費者の代役」になるため、「公平性」「客観
性」「厳格性」等が求められます。加えて、審査員による判断に違いは許さ
れず「安定性」も必要となります。

続いて、付加価値(受審組織に喜んで頂く+αのサービス)の視点で挙げて
みます。


A受審組織の力を高めるための審査の価値
ISO9001規格は顧客満足や品質管理の維持・向上はもちろんですが、「組織の
力を高める」ことも求めています。「組織の力を高める」ためのヒントを得
てもらう=「“気づき”の提供」が審査員には求められています。そのため
には、審査員個人が持つ経験や個性といった「審査員による違い」が効果を
発揮します。

以上は、審査員側の立場から考えていますが、受審する立場からは「審査の
価値」についての別の考えがあると思います。どうしても相反する部分もある
と思いますが、最大限合致した審査を行うことを目指したいと思うところです。
 

審査員として注意すべき言葉

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審査員も新たな規格を学ぶためには、企業の事務局の方と同様に外部機関
の研修に参加しますが、他の審査機関の審査員と出会う貴重な機会でも
あります。グループ討議や模擬審査演習などで、様々な審査手法や考え方を
垣間見ることもできるからです。

そこで、時々耳にする「気になる」言葉があります。それは、「私がいた
○○(企業名)では・・・」という発言です。

例えば、「私がいた○○では、受入検査者のサインを簡略化することは
許可していませんでした」や、「完成度の低い手順書で作業を開始する
なんて、私のいた○○では考えられません」等です。

もちろん、その企業名は名の通った大企業です。率直に「企業名は出さ
なくていいのに・・・」と思ってしまします。

審査における判断や事例を示すためには、審査員自身の実務経験は重要な
知見です。ですが、その実務経験を「あるべき姿」と考えることは危険です。
ましては、そこに「大企業がやっているのだから・・・」という前提が入ると
尚更問題です。

組織にとっての「規模の大小」は、ひとつの“特性”に過ぎないと私は考え
ています。組織が持つ様々な特性に合わせた判断や事例提供を行なうことが、
価値の高い審査になると考えています。

人の振り見て我が振り直せ・・・審査で使う「言葉」には十分に気を付けたい
と思います。

 

不適合にして下さい!

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審査での指摘は、文書による是正処置報告が必要な「不適合」と、「観察
事項」や「推奨事項」等とよばれる不適合未満の事項に分けられます。

その両者を分ける「ボーダーライン」は勿論明確なのですが、時に指摘する
内容が持つリスクや重要度、或いはシステムの成熟度や組織の状態等により、
ボーダーライン上で迷うこともあるのが正直なところです。

審査を受ける側としては、できれば「不適合」をもらいたくないというのが
心情ですから、少々無理があるなと感じる程の釈明を受けることがあります。

ですが、稀に「不適合にして下さい!」と部門責任者や管理責任者の方から
言われることがあります。勿論、審査員とのコミュニケーションが決裂した
からではありません(笑)。

その理由は、「問題点を明確にしたい」「確実に改善したい」「該当者の
認識を高めたい」「ルールの大切さを示すため」等と様々ですが、「審査を
活用する」という視点に立っていることには間違いありません。

とは言え「不適合にして下さい!」と発言することは内部の視線を考えると
容易ではないと思われ、その意志に接することは審査員として気が引き締ま
ります。

審査員は基準に沿って適否の判断をしますが、組織としての思いは確実に
審査員に伝わります。「審査を活用する」一つの考え方としてご紹介しま
した。
 

業務ローテーションにおける心得

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急な欠員への備えや人材育成の観点からも行われる多能工化のための業務
ローテーションですが、その推進において素晴らしい視点で取り組んでいる
事例がありました。

その企業は約50名の製造業でしたが、ルールとして3年を目途に業務ローテー
ションを行っていました。大きな組織では珍しくないかも知れませんが、
中小規模での実践は多くありません。

「するべきことは“ルール”にしないと、とても続けられません」と自嘲
気味に話されていましたが、ルールを決めることは出来ても、守ることは
容易ではありません。

業務ローテーションの実践だけでも素晴らしいのですが、私が一番感銘を
受けたのはその実践で大切にしておられた心得「引き継ぐときは、改善し
てから渡す」です。

ローテーションが決まると部門長も協力しての「改善洗い出しと実施」を
行うそうです。普段から改善には取り組んでいるものの、引き継ぎを控え
たある時期に“集中”して実施することによる質的・量的な効果は大きい
と説明されていました。

ルールではく“心得”と表現されたことも素敵だなと感じました。
 

個人・部門によってばらつく整理・整頓

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製造現場に入った時の第一印象で、「問題が多そうか・少なそうか」の
見当が付きます。その第一印象を決めるのは、ご想像の通り整理・整頓の
状態です。

会社全体として“徹底”して取り組んでいる場合は、さすがにどこを見ても
整理・整頓が実践されています。逆に“無頓着”或いは大切なのは理解して
いるが“諦めている”会社は、やはりどこを見ても雑然としています。

今回は、こられ両極以外の“それなりに”取り組んでいる会社について
つぶやいてみます。

整理・整頓のレベルを良否で5段階に分けた場合、最下位1と最上位5の間は
2〜4となりますが、例えば会社全体がレベル3等で統一されている例は少なく、
個人の作業場所や部門単位でレベル1〜5が混ざっている場合が多いのです。
「する人はする、しない人はしない」「する部署はする、しない部署は
しない」状態です。

私は審査結果報告の際に、整理・整頓の状況についての感想を伝えるよう
にしていますが、「〇号機の作業台の整理・整頓は素晴らしかったです」
「〇〇エリアの第一印象は、素晴らしい整理・整頓でした」等と良い場所を
引き合いに出します。

作業されている方は特にですが、管理者の方もそのような「ばらつき」が
あることを認識していることが少ないからです。「後から見に行ってみます」
等とよく言われのです。

同じ会社なので他者・他部署のことはよく知っていると思いがちですが、
案外に学ぶことはたくさんあります。整理・整頓は、その最たる事の一つ
ではないかと思います。そして、ものづくりに限らず整理・整頓は仕事の
基本だといつも感じています。

是非、他の部署やエリアを「学ぶこと探し」に訪ねてみて下さい。
 

「品質方針」に込める理念と共感

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ある雑誌の記事です。「サンタクロースは、明確な“理念”があるから
3K職場でもイキイキしている!・・・冬の夜中に汚れた煙突から服を
汚さないように入り、子供を起こさないように神経を使い、大量のプレ
ゼントを朝までに届けというノルマを課せられる3K・・・」勿論、
その理念は、“子供の夢を叶えるため”です。

このサンタクロースの例示は、中小企業経営者が集まる会合において、
“経営理念”が自社内で共感を持って受け入れられているかを問い掛ける
ためのものです。経営理念が定まっていなければ、経営者の気まぐれや
思い付きで会社という船の舵を切ることになり、経営理念があっても共感
がなければ、帆は上がらずオールも動かない。

ふと審査で目にする品質方針のことを思い出しました。良し悪しは別に
して、10年前と今では品質方針に対する企業及び審査員の考え方は
異なっていると感じます。端的に言えば、以前は経営者の“血の通った”
或いは“活きた”文言を盛り込むことに焦点が置かれていましたが、
今は規格が求める文言や意図が含まれていればヨシとする雰囲気を感じます。

勿論、審査員は規格要求を超えて審査することは許されず、会社の理念の
深くまで踏み込むことは行き過ぎですが、経営者の気持ちが込められた
品質方針に出会うと感銘を受けます。そして、その方針が浸透している
様子が審査から見えると感動します。

私の記憶に残っているケースとしては、「お客様の期待を上回る〇〇
サービス」や「家庭に笑顔を届ける〇〇作り」等の創業者の言葉や考え
方を盛り込むケース、或いは「〇〇技術を日本中にお届けする」や
「新時代の〇〇作りを目指して」等の業界が置かれた現状や課題を打破
することを盛り込んだケースです。

美辞麗句ではないかも知れませんが、社内で共感が起これば大きな力と
なるフレーズです。
 

改善すべき内容を確実に理解する姿勢

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ある審査の結果報告会でのことです。審査員が指摘事項や観察事項を説明
するたびに、経営者が審査を受けた自社の担当者に「どのような状況だった
のか、どのような不都合や問題が起こる可能性があるのか、そしてどのような
改善案があるのか」等を説明するよう指示するのです。

経営者が報告の内容に納得していないという訳ではなく、担当者が確実に
理解しているかどうかを確認しているのです。そして、審査員に対して
「理解が合っているか」を確認するのです。

審査員としても説明を尽くしたつもりですが、改めて受け取った側から話を
聞くと、少しの食い違いを含めて補足説明が必要でした。

もちろん、審査員としては確実に伝わる審査に磨きをかけなければと反省
しましたが、それよりも強く感じたのは、審査に対して受け身にならずに
積極的に利用しようとする経営者の姿勢でした。

最後に少し救われたのは「いつもあのようにしているのです」という審査後の
経営者からの言葉でした。決して私達の報告の出来が悪かったからではない
のだと(笑)。
 

品質目標「顧客クレーム○件以下」からの脱却

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正確にはカウントしていませんが、審査で出会う組織の半数以上がタイトル
通りの品質目標を毎年継続しています。「品質マネジメントシステムです
から、顧客クレーム削減を品質目標に掲げるのは当然です」と、よく言わ
れます。

勿論その考えを否定しませんが、品質目標達成のための貴重な1ステップと
しては勿体ないと思うのです。

例えば、@「顧客クレーム削減」→A「社内不適合の削減」→B「A工程
での歩留まり向上」の3ステップで活動を展開するとします(ステップA
で終わっている組織も少なくありませんが)。この3ステップから「顧客
クレーム削減」を無くしてみるとどうなるでしょうか。

@「社内不適合の削減」→A「A工程での歩留まり向上」→B・・・少し
悩むのではないでしょうか。悩まずに「〇〇設備の△△操作でミスが起こり
やすい」と攻めるポイントがスッと浮かぶこともあるかも知れませんが、
ポイントが浮かばずに「最初の1か月でA工程の現状分析を行って攻める
ポイントを見つけ出してから・・・」となるかも知れません。いずれに
しても品質目標達成に向けた活動が、より深く・濃くなるのではないで
しょうか。

翌年、品質目標を「B工程での歩留まり向上」とすれば更にステップBが
悩ましくなります。決して関係者を悩ませることを狙ってはいませんが、
活動自体の試行錯誤、トライアンドエラーを許す雰囲気を作ってさえおけば、
楽しいチャンレンジにすることも可能です。

「顧客クレーム件数」は、品質目標に掲げなくても当然ながら監視対象と
なるのですから、貴重な1ステップを占有している状況から脱却しては
いかがでしょう。
 

「組織の知識」を継承して行くために必要なこと

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ISO9001の新規格で加わった「組織の知識」。組織が蓄えてきた技術やノウ
ハウを継承して行くためには欠かせない、とてもよくできた要求事項だと
思っています。文書・記録の要求がないこともあって少し地味な要求事項
ですが、審査での確認と合わせてその有用性をお伝えするようにしています。

多くに事例に触れるなかで、「組織の知識」を上手く実践している(或いは
前向きに取組もうとしている)組織と、その逆の組織の「違い」に思い当た
りました。それは、組織内に「メモ」を取る習慣が文化としてある組織と
ない組織との相関です。

ご想像の通り、「メモ」を取る習慣がある組織は「組織の知識」への取組み
や意識も高いと感じるのです。「メモ」を取る習慣は、いろいろな記録の
「その他」欄などの自由欄の充実度や欄外の追記などから見て取れます。

「メモ」を大事にする人(組織)は自分の仕事を客観的に捉え、必要な情報
を将来の自分や他人に伝える意識が高いと私は理解しています。仕事の時間
的な流れを大切にしているとも言えます。

人材育成、技術の伝承など「組織の知識」に通じる課題を挙げている組織は
多いのですが、その実践の一歩として、「メモ」を取る習慣が組織の中にある
か否かを振り返り、その是非を検討してみてはいかがでしょうか。「組織の
知識」への効果に限らず、効用の多い「メモ」の習慣ですから検討する価値は
大きいと思います。
 

規格が要求していないものは不要!?

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ある企業でお聞きした話です。内部監査員から、ISO事務局でもある品質
保証部に対して「2015年版では文書化要求が減っているのだから、
“品質保証体系図”も不要ではないか」と指摘されたとのことでした。
廃止しても大丈夫でしょうか?と。

規格要求を簡単に言うと「組織のQMSのプロセスを確立すること。
そして、必要ならば・必要な程度の“文書化”をすること」となります。
従って“品質保証体系図”の廃止が必ずしも規格に反するとは限りません。

事前に目にしていましたが、改めて”品質保証体系図“を確認しました。
各プロセスで使用する記録様式や規定や手順書等の文書類も記載されており、
いわゆる“文書体系図”の役割も持っていました。そして、私の感想は
「組織の規模や業務内容を考慮すると、記録や規定文書・手順書が多過ぎ
る」でした。

そこで、私は少し視点を変えて検討することを提案しました。

まずは“品質保証体系図”がどのような目的で作られ、どのように活用する
ことが出来るかの検討です。答えの一つは、会社のQMS体系を「把握」
することです。

先の内部監査員の「文書の要否を再考する」視点に沿って考えるならば、
まずは記録様式や文書類の削減可能性を検討してみることを提案しました。
その時にこそ「必要ならば・必要な程度の文書化」の発想が効いてくることも。

「把握」するという価値が増し、どこから着手するのかの決定と、進捗状況の
把握にも役立ちます。その検討の最後に、“品質保証体系図”の要否を検討
してもよいでは?とも付け加えました。

ISOのスリム化・シンプル化は非常に大切なことです。それぞれの文書や記録、
活動の目的と活用に着目して改善を進めると、よい改善が進むと思います。
 

内部監査の雰囲気が悪くならないための方策

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「被監査者側の防御・抵抗姿勢が強くて、最低限の質疑応答しか行われない」、
或いは同様の利用で「監査員と被監査者の間で、是非論がエキサイトし過ぎる」
という、内部監査のお悩みを聞くことがあります。

後者は積極性の表れですが、雰囲気が悪いことには変わりなく、課題や問題の
発見と改善という「成果」につながり難い状況です。

私は、“監査”という言葉の印象が影響しているのかも知れないとお伝えし、
監査という言葉を提案と置き換えて、社内に説明してみることをお勧めし
ます。「内部提案」「内部提案員」です。

厳密に言えば規格要求事項の意図とは異なるかも知れませんし、言葉遊びの
ようですが、案外と「ガッテン」してもらえることが多いです。