審査中はもちろんですが、審査前後でも審査員との接点が多いISO事務局(以下、事務局)。当然ながら事務局は審査を受ける組織内にあるのですが、時折、その境界が明確に線引きされて組織から離れていると感じることがあります。
具体的には、各部門の審査において「この文書は(記録は)、事務局が作成しているので詳細は分からない。事務局に聞いて下さい」と回答を受けるケース等です。いわゆる偽造があれば不適合にもなり得ますが、仕組みとして事務局が担っていればそれも難しい。マネジメントレビューのインプット
資料に対して、トップ自らがそのようにお答えになることもあります。
「事務局まかせ」の運用です。精力的に活動されている事務局ならそうでもないのですが、ご苦労されている様子の事務局であれば同情すら感じます。結果として、マネジメントシステムの運用成果に結びつかない事例が殆どです。
事務局の構成員は組織の規模等により千差万別ですが、これまで出会った事例をもとに、どのような事務局であれば「事務局まかせ」になり難いかを挙げてみます(実事例として挙げますので、要素は重複します)。
1.複数の部門から選出された事務局:
同僚が含まれているため、他人事になり難いと感じます。また、各部門からの意見や要望も反映されやすいようです。合議制ではあっても、中心となる人物には幹部クラスが適任のようです。
2.幹部を中心に有望な若手で構成された事務局:
幹部への遠慮と、若手を無下に扱いにくい心理が、各部門・社員の参画意識を生むようです。
3.社長後継者が中心の事務局:
遠慮と親近感の程良いバランスが、社内の参画意識を生むようです。後継者自身にとっても、貴重な訓練・学びの機会になると考えます。
「事務局まかせ」が起こっているようであれば、事務局の変革は有効な一手と考えます。