ISOマネジメント研究所では、ISO9001,ISO14001,ISO27001,ISO45001,Pマーク等の第三者
認証の取得・維持のための支援をしています。2001年9月に創業し、
中小企業をメインに支援
企業は1000社以上あります。お客様のリピート契約率は、約8割です。単なる認証取得および
維持だけにとどまらず、組織や従業員にとって役に立つ仕組みづくりを
支援いたします。

審査の中で、改善に対する貴重な考え方を聞くことがあります。

今回は審査先でお聞きした「クレーム対策は、さかのぼりが重要」という考え方についてつぶやきます。

クレームの発生原因においては、なぜなぜ分析が有名です。

その掘り下げにおいては(「下げ」という表現が効いている訳ではないのでしょうが)、例えば製造部門の手順や装置や環境、或いは製造担当者の力量や教育や心理等に掘り下げることが多く、加えて、流出対策では製造の下流にあたる検査工程へと視点が移ります。

当然ながら設計部門や営業部門や顧客等と「さかのぼって」、その影響や要因を分析することも必要です。当の製造部門においても、担当者の上司をグループリーダーや課長や部長等と「さかのぼる」ことが必要です。

そのように考えると、「さかのぼる」発想、言い換えると直接の発生個所を中心にして、全方位に広がる「放射円」の発想で考えることが重要なのだと感じました。

 

現場審査で私が注視していることの一つが「裏と奥」です。
特に、環境のISO14001と労働安全衛生のISO45001では重視しています。

毒劇物を保管する施錠棚やクレーン用のワイヤー保管ラック、燃料等の可燃物倉庫、廃棄物置き場等々、決められた「場所」は概ね問題なく整理整頓されています。

しかし、施錠されていない棚の奥で古い毒劇物の瓶が見つかったり、保管ラックの裏に錆びたワイヤーが見つかったりします。

「今は使っていません」「中身はほとんど空です」「廃棄する予定です」などの説明を受けることもあるのですが、そのような油断は思わぬトラブルや事故につながります。

とは言え、日常において上司や管理者が、いわゆる小姑のように裏や奥を調べるのはなかなか難しいものです。内部監査員でも、やはり躊躇するのではないでしょうか。

私がそこで提案するのが、内部監査のテーマに掲げることです。
例えば、『危険源の徹底排除:目が届き難い「裏や奥」の総点検』等です。

それを社内にしっかりと周知すれば、内部監査員も「役割」として行いやすく、受ける側も嫌な思いをすることがないでしょう。

QC工程表は、ISO9001審査において「主役中の主役」でした。その良し悪しや原因は別にして、肌感覚として「審査における主役」ではなくなったと感じます。

審査を受ける皆様にとってもそうではないでしょうか。

しかし、数年前から続く品質不祥事と呼ばれる多くの事件をみると、QC工程表の存在意義や利用価値を強く感じます。

QC工程表を作る作業は、「本来はこうあるべき」を再確認することになります。そして、完成したQC工程表を製造部門のみならず営業部門や設計部門などの関係者が確認することで、より「正しい」姿となります。

多くの品質不祥事は、「知らなかった」や「うっかりしてた」ではなく、「本来はこうあるべきだが、止むを得ず」或いは「本来はこうあるべきだが、現状でも問題はない」などから始めったと思われます。それが繰り返し長く続くと、「これ(現状)が本来のやりかた」「このように教えてもらった」と常態化してしまうのでしょう。

審査でQC工程表のことを質問すると、「そういえば作ってたな・・・」「どこにあったかな・・・」「いまさらそんな基本的な確認をするのか・・・」と心の声が聞こえてきそうな状況がよくあります。

ですが、QC工程表と現状が異なっている状況もよくあります。ほとんどの場合は、異なっていても「問題ない」との結果になるのですが、それはコントロールされた状態とは言えません。

QC工程表を風化させない工夫として、新しい人材への教育に必ず使用する、或いは一年に一度は変更がなくても内容を再確認して発行日を更新する、などを行っている組織もあります。

是非とも、今一度QC工程表にスポットライトを当ててみて下さい。

審査機関に属する審査員の協力得て、掲載しております。

皆さんの会社を訪れる審査員。当然ながら、突然「今日から審査員です!」と言うわけではありません。必要な教育や訓練を受けて、それぞれの審査機関の認定基準をクリアして審査員となります。

では、その訓練課程、特に最初に一番苦労することは何だと思われるでしょうか?

あくまで、自身の経験と、訓練の一部に携わる経験からの感想とはなりますが、答えは「インタビューすること」です。

審査員を目指す多くの方が、企業において審査員と直接やりとりした経験をお持ちです。ですが、最初に痛感するのは「見るのと、するのは大違い!」なのです。

最初のインタビュー訓練でガツンと衝撃を受けるのです。

いわゆる項番審査と言われる、要求事項の順番通りに質問を重ねることならそこまで苦労しないかも知れません。

ですが、規格でも示されているプロセス・アプローチ=プロセス審査では仕事の流れに沿ったインタビューが必要です。

仕事の流れの説明を聞きながら、頭の中で該当する要求事項を意識して、適宜、質問を挟んで確認する必要があるのです。

目指すのは、説明する方が要求事項を意識することなく、普通の会話を続けながら、気が付けば審査が終わっている状況です。

インタビュースキルは基本の基本であり、その先の観察力や問題発見力など更に多くのスキルを身に着ける必要があるのですが、最初にして最大の壁と言えます。

次に審査員とお会いになる時「この人も最初にガツンと衝撃を受けたのかな」と心の中で思われると、少しは審査を受ける緊張が和らぎ親近感もわくのではないでしょうか。

 

ISO9001や14001では、その要求項目5章で「リーダーシップ」の発揮を求めています。

私自身もそうなのですが、5章に関する指摘事項が審査で示されることは極稀です。指摘があったとしても、社員の所持する品質方針カードが旧版だった、或いは掲示物が旧版だった等、あくまで「社員側」に向けたものであり、「トップマネジメント」に向けたものではありません。正直、トップマネジメントに向けて指摘を出すのはNGというのが不文律です。

5章の意図は「トップマネジメントは、組織の雰囲気作りに責任を持って下さい」ということだと考えています。

顧客重視、地球環境の保護、法規制の順守、責任と権限等のキーワードで、「日々の業務の目的が曖昧にならないように、迷走しないようにターゲットを示して、一人一人の意欲を引出して下さい」と言っていると解釈しています。「組織が正しく進むための雰囲気作り」です。

審査では、社員や部下を批判的に話す経営者や管理職がおられます。日々のご苦労、そして個々の成長を願ってのことと理解してお聞きしますが、時には「よりよい方向に向かうために、どのような雰囲気作りをされていますか」と水を向けています。

経営者に限らず管理職の方は是非、5章に書かれた要求事項を「自分の責任範囲で、正しい雰囲気作りが出来ているか」の視点で読んでみて下さい。新たな発見があるかも知れません。

ISO9001や14001では、その要求項目4.1、4.2で「組織を取り巻く内外の課題」と「顧客を含む利害関係者のニーズと期待」を明確にするように求めています。

多くの組織では、それぞれを文書化して年に一度更新しています。ですが、内容がまったく同じ、或いは文言や言い回しだけが少し変わっているだけの事例も多くあります。変化のない文書は、結果として社内で注目されることはなく、「審査員が見るためだけの文書」になりがちです。

「作成しても利用する場面がなく、意味を感じない」という意見も多いのですが、4.1、4.2に関する事項は(規格詳細は省きますが)、仮に漠然としたものであっても全ての経営者の中にはあると思っています。それを、少しあらたまった機会として整理して、明文化する意味は大きいと考えて
います。

4.1、4.2の意図として「明確にする⇒社内で共有する」ことがあると考えています。組織を取り巻く内外の状況を、経営者が「今」どのように考えているか、社内に示すことで、一人一人の目標や課題への納得感を増すことができます。

網羅的に作成しているため追加や削除が難しい場合でも、「内容自体には変化はないのですが、今年度は、これとこれに注目しよう!と、マーキングして社内に周知しています」
と活用している組織もあります。

ある中堅企業の審査でのことです。長くISOを運用しており、マンネリや形骸化を感じてきたため、ISOの仕組みに限らず「普段感じている社内ルールや仕組みの問題点」を社内アンケートで募っておられました。

社長曰く「想像以上にたくさんの意見が出ました。それも、一部の社員や部門に偏ることなく、たくさんの問題点や意見が…」

私は、「そんなに問題点があることがショックで…」と続くのかと思いました。

ですが、意に反して「まだまだ、会社が社員から“見捨てられていない”ということです」と喜ばしくおっしゃったのです。

審査を通して、活力のある・雰囲気のよい会社と感じていましたので、その理由がわかった気がしました。

「うちの社員は物足りない」「うちの若手は元気がない」等と、“見捨てるかどうかは会社側”との前提に立った発言はよく耳にします。ですが、最近は「人件費は経費ではなく投資」とも言われます。

会社・経営者・社員との関係をどのように考えるべきか、その素晴らしい事例に触れることができました。

内部監査で見つけた問題点を「不適合」にするか、「観察事項」にするかで迷います、と質問を受けることがあります。

「不適合」にすると厳し過ぎるかも知れないし、「観察事項」にすると甘いかも知れないとの思いからです。

実はこの迷い、審査員にとっても他人事ではありません。

規格要求事項と組織が定めたルールへの適合性と有効性を判断等と、定義はありますが、その判断では迷うこともあります。

冒頭の質問には、「確実に再発防止を行って欲しい問題点は不適合」と判断することを提案しています。観察事項に対しては再発防止をしないということではありませんが、例えば関係者への口頭指導等で済むと思われる場合等があたると考えます。

提案の観点は、「問題点」に焦点をあてるのではなく、「再発防止」に焦点をあてるということです。当然ながら両者は深く関係するので、単なる言い換えと感じるかも知れません。

ですが、問題点を挟んだ監査する側・受ける側の関係においては、問題点を責める雰囲気にならず、今後の改善に向けた前向きな雰囲気になると考えています。

私も審査員として迷う時があると書きましたが、その時に考えることは同じです。もちろん、認定を受けた外部審査員として従うべき基準等は多岐に渡りますが、「これから」に目を向ける基本的な考えは同じです。

内部監査は、ISOの為だけではなく、社内のコミュニケーションとして貴重な機会です。その在り方について、社内で広く意見を交わすことが更なる活用になると考えます。

審査中はもちろんですが、審査前後でも審査員との接点が多いISO事務局(以下、事務局)。当然ながら事務局は審査を受ける組織内にあるのですが、時折、その境界が明確に線引きされて組織から離れていると感じることがあります。

具体的には、各部門の審査において「この文書は(記録は)、事務局が作成しているので詳細は分からない。事務局に聞いて下さい」と回答を受けるケース等です。いわゆる偽造があれば不適合にもなり得ますが、仕組みとして事務局が担っていればそれも難しい。マネジメントレビューのインプット
資料に対して、トップ自らがそのようにお答えになることもあります。

「事務局まかせ」の運用です。精力的に活動されている事務局ならそうでもないのですが、ご苦労されている様子の事務局であれば同情すら感じます。結果として、マネジメントシステムの運用成果に結びつかない事例が殆どです。

事務局の構成員は組織の規模等により千差万別ですが、これまで出会った事例をもとに、どのような事務局であれば「事務局まかせ」になり難いかを挙げてみます(実事例として挙げますので、要素は重複します)。


1.複数の部門から選出された事務局:

同僚が含まれているため、他人事になり難いと感じます。また、各部門からの意見や要望も反映されやすいようです。合議制ではあっても、中心となる人物には幹部クラスが適任のようです。

2.幹部を中心に有望な若手で構成された事務局:

幹部への遠慮と、若手を無下に扱いにくい心理が、各部門・社員の参画意識を生むようです。

3.社長後継者が中心の事務局:

遠慮と親近感の程良いバランスが、社内の参画意識を生むようです。後継者自身にとっても、貴重な訓練・学びの機会になると考えます。


「事務局まかせ」が起こっているようであれば、事務局の変革は有効な一手と考えます。

 

以前も書きましたが、審査では「記録はメッセージです」とお話しています。

メッセージなので、「伝える相手」と「伝える目的」が必要です。

逆に、伝える相手がいない、伝える目的を持たないメッセージは意味を持ちません。記録も同様です。

日々作成されている記録で、「伝える相手」「伝える目的」を考えてみます。

例えば、設備の始業前点検の記録(チェックリスト)。
まず思いつくのが、①「点検者自身」に「どこの何を見るのかを伝え(自覚する)、確認したことを自分自身で忘れないため」、加えて②「点検者の上司」に「点検を確実に行ったことを証明するため」、③「修理の担当者」に「異常の兆候があったかどうかを伝えるため」等々、いくつか考えつきます。果たして、実際の記録はどうでしょうか。

例えば、協力会社の定期評価記録。①「協力会社」に「期間中の業務における品質管理や環境管理をどのように評価しているかを伝え、良いところを更に伸ばして、改善点を見直してもらうため」②「(期間中にあまり接点のなかった)自社の各担当者」に「今後接点があれば、協力会社の現状を踏まえて、必要な事前注意を伝え、対応をとってもらうため」等々。果たして、実際の記録はどうでしょう。

その他、不適合への対応を記した記録はどうでしょうか。
品質目標とその実施状況を記した記録はどうでしょうか。
顧客の要求事項を明確化した記録はどうでしょうか。

一番避けたいのは、「審査員に見せるためだけ」になっていることです。

審査員の立場では、客観的に確認できる記録を求めていますが、それだけが「伝える相手」であり「伝える目的」となる記録は、規格の要求事項にはないと考えています。必ずといってよい程、組織の改善に活かすための「相手」と「目的」があります。

「記録はメッセージ」と認識いただくことで、記録を作成することの効果が大きくなると考えています。

要求事項7.3「認識」は手順も記録も要求されていないため、審査では比較的注目されない要求事項です。

結果として、組織のマネジメントシステム運用においても意識され難いと感じますが、私は目標管理と組み合わせて「認識」を多用しています。

「認識」の要求事項を、私は次のように言い換えています。

『方針に基づいた目標を達成するために−自分自身がどのように行動すべきなのか−行動の結果が、どの程度目標(方針)達成に貢献できたのか−今後、どのように行動すべきなのか−を、一人一人が理解すること』

目標管理の有効性を観察するための視点と直結するのです。
・方針と目標の関連性が弱いと、一人一人の行動の起点となる認識が不足する
・目標達成のための施策に具体性がないと、一人一人が行動の内容を認識できない
・行動の結果に対する評価が不明確だと、どの程度貢献できたのかを一人一人が認識できない
・結果の評価を踏まえた今後の対応指針が不明確だと、修正点や課題を一人一人が認識できない

「一人一人」が重要なキーワードです。

目標管理で作成する記録は、当然ながら審査員に説明するために作成するのではありません。行動すべき組織の一人一人に向けたメッセージとして作成することで、その価値を発揮すると考えています。

以前にもつぶやきましたが、審査ではトップから最前線の方までお話しを聞くことができるため、組織全体を俯瞰してとらえることができます。今回も、同様の視点からのつぶやきです。

審査は当然ながら規格に関連することのやりとりですが、対応いただく方の「人柄」も少なからず感じます。押しの強い経営者、控えめな経営者、上に弱く下に強い管理職とその逆の管理職。同僚に気配りする方とその逆の方。時には「これで上手く組織が回るのかな…」と僭越ながら感じる個性の方もいます。

ですが、冒頭に記載した通りに組織全体を見ると、「この経営者と幹部の関係ならば…」「この部長と課長の関係ならば…」「この職場の雰囲気ならば…」等と、相対的に見るとしっくり噛み合う、或いは調和していると感じることが多いのです。

組織を考える時には、「人」そのものを見ることも大切ですが「人」と「人」の間にあるもの(関係性と呼んでみます)を見ることも大切だと感じています。「人」を変化させることは難しいですが、その関係性を変化させる余地は比較的大きいとも感じるからです。

なぜならば、変化の方法には配置転換だけではなく、関係性に対する助言や雰囲気作りの方法もあるからです。

ただし、関係性は自然発生的なものでしょうから、無理に「いじりまわす」と良い結果を生まないだけでなく逆効果になる恐れもあるでしょう。そう考えると、組織作りが容易ではないことに変わりないですが…。

品質管理ではなく「管理品質」。ネット検索でも上位にはヒットしませんが、最近気になっている表現です。

他の審査員が「御社にとって重要なのは、品質管理よりも管理品質では?」と、この表現を使ったのです。その企業は規模の大きな建設会社で、実際に品質を作り込む協力会社への“管理の質(品質)”に着目しての表現でした。

製造業やサービス業であっても協力会社が品質を作り込む主体となるケースは多いでしょう。また、協力会社が介在しなくても管理職にとって“管理の質”は重要です。

ISO9001にも協力会社に関する要求項目(8.4)はありますが、そのイメージとして私が持っていたのは(且つ多くの会社で運用されているのは)、「協力会社を通した品質管理」であって「協力会社を管理する質」とは微妙に違っていたと感じるのです。

そして、「管理の質」に着目して実態をみると、多くの場合「管理者としての精神論」に重きが置かれて、「システム/仕組み」としてはあまり捉えられていないと感じるのです。

品質管理と同様に管理品質の「システム/仕組み」に着目することで、新たな改善の道を見出せる可能性を感じています。審査における具体的なアプローチの方法は未だ模索中ですが、審査の質を上げるために取り組みたいテーマです。
 

2015年版の発行時にかなり話題となった「マニュアルの是非論」、品質マニュアルや環境マニュアルの是非論です。

規格の解釈論はさておき、いまでも時々「ISOの弊害はマニュアルだ!」「マニュアルは審査にしか役立たない!/審査員のために作る!」という意見を耳にします。「マニュアル=悪」の声です。

ここで「悪」と称されるマニュアルとは、「規格文を丸写ししたマニュアル」「コンサルタントが作成したサンプルのままのマニュアル」なのでしょう。

ですが、マニュアルの是非を論じる際に、この「〇〇〇なマニュアル」という前置きが吹っ飛ばされることが多く、とても残念です。

私は、マニュアル(良いマニュアル)の定義を「規格要求に対して、自社ではどのように対応しているか、或いはどの記録が当てはまるかを文書にしたもの」と説明しています(すみません当たり前で)。

では、誰のために作るのか?当然、組織でISO運用を担う人達のためです。特に、仕組みを見直す時や事務局が交代するときには大いに役立つでしょう。悪いマニュアルは自社だけではなく、審査員にとっても意味がありません(すみません、乱暴な言い方で)。

「良いマニュアルだな〜」と感心したことがあります。それは、規格要求番号とタイトルを縦軸に、自社で当てはまる業務を自分たちの言葉で短文(1行程度)で、或いは作成する記録を使用する順番を含めて横軸で記した表形式のマニュアルです。どこにも規格文はありませんでした。もちろん、業種や組織規模等によって合う・合わないはありますが、その組織にはピッタリでした。

今更ながらのマニュアル是非論でしたが、この件を問わず「前置きを吹っ飛ばした単純な是非論」に強い違和感を持つタチの審査員のつぶやきでした。

横文字の流行り言葉には少し抵抗があるのですが、仕事柄「SDGs」を避けて通ることは出来ません(その詳細はインターネット等にたくさんの情報がありますのでそちらに任せます)。

簡単に説明すると「国連が設定した世界の目標(17のゴール)を2030年までに達成しましょう!」という仕組みです。当然ですが、環境問題の解決も含まれます。

そして、ISOを運営する機関も「ISO14001はSDGs達成のための有効なツールである」と認めています。

率直に「ISO14001の活動に元気と勇気を与えてくれるSDGs」と感じています。

ISO14001のモチベーション維持に苦労している組織は多いです。

SDGsとISO14001を複雑に関連付けた高度な運用を目指すことはさておき、「知ってると少し自慢できるSDGsとは…」「17のゴール中で我社がISO14001で取り組んでいるのは…」等の話をするだけでも社内に「私達はかなり良いことしてる!?」という小さな元気と勇気が生まれるのではないでしょうか。

大きな組織を審査する際には、審査する側も受ける側も「大きな視点」になりがちです。管理階層が多いため、いわゆるマネジメント機能における確認が増えるためです。階層間の情報共有やコミュニ
ケーションの問題に着目することが多く、組織側もそれを望んでいる場合がよくあります。

ですが、どんなに組織が大きくても、顧客に一番近い最前線となる階層の重要性は変わらないと考えています。組織全体から見れば極一部の問題であっても、時には一瞬で、或いはじわじわと時間をか
けて、組織全体を揺るがすことが少なくないからです。

顧客要求を聞き取った記録の記述内容の個人差、検査項目に対する検査者の理解度の濃淡など、組織の大小に関わらず細かな視点で審査し、問題があれば躊躇なく報告します。

時には「細かすぎる」ことを言外に匂わすような発言を受けたり、稀に明言されたりすることもあります。もちろん、報告内容の合意形成には努めますが、可能な限り細部品質の重要性を伝えるように
しています。

大きな階層ピラミッドの上階層が、自分以下の階層全てをチェックすることは現実的ではありませんが、少なくともその認識を持つことは欠かせないと考えているからです。

コロナ禍におけるリモート審査。その実施においては、受審組織も審査員も不慣れな場合が多く、その実効性への懸念を含めて、私自身もマイナスイメージばかり持っていました。

ですが、リモート審査の機会を活かそうとしている組織に出会い、マイナス面しか見ていなかった私は反省させられました。その活かし方とは、「社内教育」です。

これまでも、自社の内部監査員への教育の一環として審査に同席する事例はありました。しかしながら、現実の「同席」には時間・費用・場所等での負担や制約が伴います。特に、大きな組織では他拠
点からの参加は困難でした。

その制約をクリアするのがリモート参加です。時には、20名近い参加者がいるとお聞きすることもあります。内部監査員だけではなく、直接の審査対応者以外にも審査及びISOに参画意識を持ってほしいと選定された人もいました。

少し状況は異なりますが、現地訪問での審査で、他拠点からTV会議システムで審査を聴講(?!)している事例もあり、これもコロナ禍でのリモートシステム活用と感心しました。

冒頭マイナス面の話をしましたが、審査員にとっても審査スキルを試される機会であり、成長・進化を求められるリモート審査なのです。当然のことながら、審査の実効性を確保した上で、リモート審
査ならではの「審査の価値」を見出すことが与えられた使命だと思っています。

新人社員に対する教育訓練や力量評価の一貫として、自社製品に関する知識テストを行うケースがよくあります。対象となる新人社員の定義はいろいろですが、長くても入社後5年程度という印象です。

ですが、先日、ある製造メーカーの審査で「新人社員に対する…」という固定観念を覆されました。

その企業では、部長クラスまでテストを受けており、その点数は全て社内に公表されているのです。テストは製品カタログから作成され、製品特徴や仕様、用途、製品選定上の注意などが出題されます。

「製造や営業で自分が携わる製品の知識は増えて行きますが、その他の製品知識を持つことも重要…」「何よりも、常に学ぶ姿勢を維持するため…」などのご説明を受けました。

製造者として、営業者として、新人として、ベテランとして…ここでは書ききれない程の効果があると感じました。

教育に対する取り組みは、企業理念や企業風土を映す鏡だと強く感じました。

コロナ禍で多くの企業が影響を受けています。トップマネジメントインタビューでもその話題に必ずなります。

その中で印象的だったのは、ある経営者のお話でした。

その方曰く「さすがに今回は社員にも(賞与が下がることを)我慢してもらうしかない・・・ISOでも利害関係者に従業員も含まれると言っていますが、今回それを痛感しました。」

コロナ禍で賞与が下がることは、QMSやEMSの影響範囲とは直結しないかも知れませんが、MS(マネジメントシステム)においては従業員を利害関係者として考えるか否かは大きな違いだと感じます。

審査員としてはおこがましい意見ですが、まれに従業員の人達を大切にしていないと感じる会社に出会います。内心、「利害関係者には従業員も含まれるのではないでしょうか・・・」とつぶやいてしまいます。

もちろん、先の経営者の会社は管理職が部下を思いやり、各社員がお客様に真摯に向き合う組織でした。

ご連絡先はこちら

プロフィール写真新

ISO取得維持専門支援の

WS000001.jpg

〒279-0026
千葉県浦安市弁天1-21-8

代表者:人見 隆之

https://www.iso-mi.com/

成果を出す仕組みの作り方

現役審査員のつぶやき

うまくいくISO事務局のためのISO川柳

マンガでISO

ISOとは何かをマンガでわかりやすくしました。
ご希望の方にさしあげます。

お問い合わせページよりお申し込みください。

ISO14001入門テキスト

10,000円(税別)で販売中(お問い合わせからお申し込みください)

ISO27001における
リスクアセスメントのやり方

無料進呈中!
お問い合わせページよりお申し込みください。

書籍のご紹介

ISOマネジメント研究所

〒279-0026 千葉県浦安市弁天1-21-8