以前も書きましたが、審査では「記録はメッセージです」とお話しています。
メッセージなので、「伝える相手」と「伝える目的」が必要です。
逆に、伝える相手がいない、伝える目的を持たないメッセージは意味を持ちません。記録も同様です。
日々作成されている記録で、「伝える相手」「伝える目的」を考えてみます。
例えば、設備の始業前点検の記録(チェックリスト)。
まず思いつくのが、①「点検者自身」に「どこの何を見るのかを伝え(自覚する)、確認したことを自分自身で忘れないため」、加えて②「点検者の上司」に「点検を確実に行ったことを証明するため」、③「修理の担当者」に「異常の兆候があったかどうかを伝えるため」等々、いくつか考えつきます。果たして、実際の記録はどうでしょうか。
例えば、協力会社の定期評価記録。①「協力会社」に「期間中の業務における品質管理や環境管理をどのように評価しているかを伝え、良いところを更に伸ばして、改善点を見直してもらうため」②「(期間中にあまり接点のなかった)自社の各担当者」に「今後接点があれば、協力会社の現状を踏まえて、必要な事前注意を伝え、対応をとってもらうため」等々。果たして、実際の記録はどうでしょう。
その他、不適合への対応を記した記録はどうでしょうか。
品質目標とその実施状況を記した記録はどうでしょうか。
顧客の要求事項を明確化した記録はどうでしょうか。
一番避けたいのは、「審査員に見せるためだけ」になっていることです。
審査員の立場では、客観的に確認できる記録を求めていますが、それだけが「伝える相手」であり「伝える目的」となる記録は、規格の要求事項にはないと考えています。必ずといってよい程、組織の改善に活かすための「相手」と「目的」があります。
「記録はメッセージ」と認識いただくことで、記録を作成することの効果が大きくなると考えています。