外資系企業の日本法人を審査することがあります。その際、日本企業との違いを
感じるのは審査を受けるスタンスの違いです。
端的に言うと、「審査のための準備」を殆どしていません。そもそも、審査を
意識して「仕組み」を作ることを殆どしていません。どちらも「殆ど」と書いた
のは、4章・5章・9章などではある程度外部審査に向けた対応が必要になるから
です。
ですが、営業・設計・製造など実業務の8章にあたる部分では「私たちのやり方が
規格に合致しているかどうか、どうぞ見てください!」といった雰囲気です。
とてもウエルカムな雰囲気である分、指摘や助言にも抵抗なく耳を傾けます。
そして、自分たちの役に立つと判断すれば受け入れる、そうでなければ受け入れ
ない、がハッキリしています。
言い方を変えると「業務の中から規格に該当する箇所を探し出し、判断するのは
審査員の仕事」であり、事前に組織側で「回答を準備(探し出して)」しておく
ことはないのです。審査員にとっては、集中と緊張を必要とする審査となります。
ここまで読まれて「国内企業でも同じように集中し緊張すべき」「組織に回答を
準備するように仕向けたのは審査機関」という感想をお持ちになる方が多いと
思います。まさにその通りだと思います。
私自身、上記のような経験を通じて、審査員としてどうあるべきか、審査機関が
どうあるべきかを考えさせられました。
審査員・審査機関は認証判定という権限を持つのですから、謙虚に汗をかき、
組織や世間から厳しく評価されるべきなのです。