ブリジストン元社長の著書※を読みました。
経営層だけでなく一般社員にも向けた教訓や心得が書かれた本でしたが、
審査員としても考えさせられるフレーズがありました。原文のままではありません
が、以下のような趣旨でした。
・順調な報告は要らない、私にはトラブルだけ報告書してくれ
・トラブルの原因など問わない(責めない)、解決することに全力を注ぐべき
・原因を問い、責めると、トラブル報告が上がってこなくなる。それは、原因が
修正されないことより怖い
「トラブル発生」と聞くと、直ぐに原因追究・再発防止・防止策のフォローと思い
浮かぶ自身が少し恥ずかしくなりました。どのISO規格文を見ても、トラブルを
起こした人の心情への配慮や、トラブル解決に向かう意気込み等に、直接的に触
れた個所はありません。
審査員としての立場に“どっぷり”と漬かり過ぎて、ついついISOマネジメント
システム(特にQMS)が企業運営の万能薬・特効薬と勘違いしている自分を感じ
ました。
論理と人情が調和した「人間味のあるマネジメントシステム」であることが重要な
のでしょうね。
「隠れてトラブルはあるようですね・・・、不適合報告書の記載内容が多く細かす
ぎて面倒なのでは?」などの会話が審査の場面でありますが、組織の内部では更に
踏み込んだ議論も必要なのだと感じるところです。
社外の審査員が安易に踏み込むべきではない領域だとも思っていますが、論理だけ
に傾倒することを戒めてくれる著書でした。
※『優れたリーダーはみな小心者である。』荒川 詔四 ダイヤモンド社