品質データの偽装、公文書の改ざんが世間を騒がせ、
記録の信頼性がゆらいでいます。
この改ざんするという、つじつまを合わせる行為は、
ISOの運用の現場でも起こり得るものです。
例えば、内部監査やマネジメントレビューでの
記録などがそうです。審査のために、行ったことに
する、もしくは聞かれても困らないように細工する
というようなことです。
もし、このようなことが平然と行われていると、
絶対に行ってはならない安全や事故に関する記録、
顧客との契約上の記録、こういったものも、つじつま合わせの
ために、改ざんしてもかまわないということになりかねません。
本来、記録を取ることには、目的があるはずです。
真実を残し、後で困らないようにする、または役に立つもの
とするために、他と情報共有するということなどの目的が
あるはずです。
ISO9001の要求事項、7.1.6組織の知識では、
会社としての必要な知識を明確化し、それを
利用可能なものにすることを述べています。
また、国の法律では「公文書等の管理に関する法律」として、
健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、
公文書等が主体的に利用し得るものであることを
規定しています。
多くの企業の現場を見聞きして感じることは、
記録というと、面倒で、形式にすぎないという
現場の認識が少なからずあります。
また、せっかく記録を取っていても、それを
うまく活用していない、何のためにとっているか
よくわからないということもあります。
このような記録の目的や利用を考えないで、
単に記録の改ざん・偽造の防止だけを考えると、
その防止のための技術的なツールだけの
運用となってしまいがちです。
そうではなくて、仕組みとして考える、
目的を考え、計画し、実施したら、必ず検証し、
見直し、改善し、新たな計画に展開していくことが必要です。
そして、これも大事なことだと思いますが、
仕組みの運用にあたっては、易きに流れるというのが
人間の特性なのだということをしっかり押さえておくことです。
(つまり、仕組みには必ず欠陥が内包される。
だから、メンテンス活動は必須)
安易なツールを導入して、それで終わりとせずに、
腰を据えて、仕組みとして考えていくことが、
組織には、必要だと痛感します。