審査での指摘は、文書による是正処置報告が必要な「不適合」と、「観察
事項」や「推奨事項」等とよばれる不適合未満の事項に分けられます。
その両者を分ける「ボーダーライン」は勿論明確なのですが、時に指摘する
内容が持つリスクや重要度、或いはシステムの成熟度や組織の状態等により、
ボーダーライン上で迷うこともあるのが正直なところです。
審査を受ける側としては、できれば「不適合」をもらいたくないというのが
心情ですから、少々無理があるなと感じる程の釈明を受けることがあります。
ですが、稀に「不適合にして下さい!」と部門責任者や管理責任者の方から
言われることがあります。勿論、審査員とのコミュニケーションが決裂した
からではありません(笑)。
その理由は、「問題点を明確にしたい」「確実に改善したい」「該当者の
認識を高めたい」「ルールの大切さを示すため」等と様々ですが、「審査を
活用する」という視点に立っていることには間違いありません。
とは言え「不適合にして下さい!」と発言することは内部の視線を考えると
容易ではないと思われ、その意志に接することは審査員として気が引き締ま
ります。
審査員は基準に沿って適否の判断をしますが、組織としての思いは確実に
審査員に伝わります。「審査を活用する」一つの考え方としてご紹介しま
した。