審査員も新たな規格を学ぶためには、企業の事務局の方と同様に外部機関
の研修に参加しますが、他の審査機関の審査員と出会う貴重な機会でも
あります。グループ討議や模擬審査演習などで、様々な審査手法や考え方を
垣間見ることもできるからです。
そこで、時々耳にする「気になる」言葉があります。それは、「私がいた
○○(企業名)では・・・」という発言です。
例えば、「私がいた○○では、受入検査者のサインを簡略化することは
許可していませんでした」や、「完成度の低い手順書で作業を開始する
なんて、私のいた○○では考えられません」等です。
もちろん、その企業名は名の通った大企業です。率直に「企業名は出さ
なくていいのに・・・」と思ってしまします。
審査における判断や事例を示すためには、審査員自身の実務経験は重要な
知見です。ですが、その実務経験を「あるべき姿」と考えることは危険です。
ましては、そこに「大企業がやっているのだから・・・」という前提が入ると
尚更問題です。
組織にとっての「規模の大小」は、ひとつの“特性”に過ぎないと私は考え
ています。組織が持つ様々な特性に合わせた判断や事例提供を行なうことが、
価値の高い審査になると考えています。
人の振り見て我が振り直せ・・・審査で使う「言葉」には十分に気を付けたい
と思います。