毎年、4月という時期は、新入社員を迎える時期となり
ますが、一方で、退職者が出た時期ともなり、組織体
制としては、不安定な時期だとも言えます。
不安定な状況にならないように、会社は、退職者が出ても業務の引き継ぎや替わりの人員の手当てをちゃんと行う必要がありますが、多くの会社はこのことがうまく出来ていないと感じます。
ISOの運用においても同様で、ある特定の者だけを頼りにして行っている場合、その者が、十分な引き継ぎをせずに、退職してしまったりすると、かなり悲惨なことになります。
実際にあった事例ですが、ある20人くらいの中小企業において、ほぼ一人でISOの対応をこなしていた担当者が退職したことによって、ISOの運用が中断し、他に誰もわかる者がおらず、何もできなく
なってしまったという相談を受けたことがありました。
この事例の場合、あるはずのマニュアルもどこにいってしまったかわからない状態でしたので、ほとんど最初から、文書の整備を行い、教育も始めから行うということになってしまいました。
ISO9001(品質マネジメントの規格)の要求事項には、「組織にとって必要な知識を明確にし、この知識を維持し、利用できるようにしなければならない」という要求事項があります。
業務上必要な知識は、ある特定の者だけが使えるのではなく、他の者も参照できたり、活用できるようしておくことが必要です。
このことは、いわゆる技術の伝承のことも含まれ、また、社内だけに限定せず、外部(委託業者、専門家等)から知識を把握することも該当します。
ISOを取得していようがいまいが、企業の事業継続にあたって重要なことですので、出来ていない組織は、早急に対応する必要があります。