三菱電機が鉄道車両向けの空調設備などを不適切に検
査していた問題で、正しく検査したように装うため、
架空のデータを自動で生成する専用プログラムを1990
年頃から使っていたことが明らかになりました。
三菱電機グループでは、以前にも品質問題(2018年12月:トーカン、2019年8月:菱三工業、2020年11月:三田製作所)を起こしており、その度に、再発防止策の策定を行ってきましたが、どうやら機能していなかったようです。
私が、多くの企業の現場を見てきて思うことは、この問題に限らず、多くの組織で実施している是正処置は、その場しのぎの対策が多いという実感があります。
つまり、原因の除去や再発防止策までしっかりと踏み込んでおらず、さらには、行った是正処置の有効性をちゃんと検証できていない、ということが感じられます。
2019年7月、一般社団法人日本品質管理学会は、当時、報道が相次ぐ産業界の品質不祥事問題受けて、「品質立国日本再生」に向けての提言を行ったということがありました。
参照:https://www.jsqc.org/kinkyu.html#r010710
この提言の中でも、「データ改ざん問題」が触れられており、データ改ざん問題は、「お客様と取り決めた仕様を外れても実際の使用では実害が生じないなどと勝手に判断して出荷したもので、明らかに意図的な品質不祥事として社会から指弾されている」ものだと述べています。
では、どうすることが大事であるか、について、この提言では、「社長の意識改革と率先行動が必要であり、有効である」ということを述べています。
現場のことは、現場のことに任せることは必要なことですが、それが放任であってはいけません。
トップは、現場の実態を知ること、自社の品質の実態を知ることが必要です。
そして、何よりも必要なことは、不都合なことや問題に真正面から向き合うというトップ自らの意識改革が必要だと思います。