ある中小企業の審査での出来事です。
教育記録の確認を行う中で、事務局の方が「結構手間暇かけて作成しますが、
その後の活用がない。もっと簡素化したい」とおっしゃいました。

確かに、実際の教育内容と比べると多少デフォルメされた内容とも
感じられましたが、それほど過剰とも思いませんでした。

その方は、とにかく運用の簡素化を目指したいとの意向が強く、
私自身もシンプルISOの良さを感じているため、記録内容の簡素化に
向けた話となりました。

それなりに簡素化の提案が出揃った時、別の事務局の方からこんな発言が
ありました。「確かに記録の内容は多いかもしれないし手間もかかるが、
後で記録を作らなきゃいけないと思うことで、教育を受ける側も行う側にも
ある種の緊張感があるのも事実」。

心の中で、衝撃と反省が渦巻きました。ついつい簡素化を「テクニック」と
して論じていたのです。極端に言えば、記録を作るという活動の意図や効果を
あきらめ、審査を通過するための裏ワザ探しになっていたのです。

まったく恥ずかしい限りです。企業があきらめても、私達がISOの価値
向上や有効性向上をたとえ小さな事象でもあきらめてはいけないと、
あらためて自分自身に言い聞かせ、反省させられた出来事でした。
 

お問合せ・ご相談はこちら

パソコン|モバイル
ページトップに戻る